地下ダム内貯留水処理工事に伴うスーパーウェルポイント工事
1.はじめに
- 2-1)海水含有水の特長
海水含有水の特長としては、真水と対比して塩分濃度が濃い分、地下ダム最下部へ蓄積される事になります。
比重の関係は概ね
上部層 真水γ≒1.0
下部層 海水含有水γ≒1,005~1.04位
と推定されます。
また、重力井戸で揚水した場合には、スクリーンの上部層が集中的に井戸内へ流下し揚水されるため、主として上部層の真水部分が揚水される事になります。
また、琉球石灰岩層には元々、海水時の塩分が多孔質の石灰岩層に附着しているために、容易に真水に塩分が溶解せず、海水含有水を真水化するには長期の時間が必要となります。 - 2-2)重力井戸の場合
a.スクリーンの集面積に比例して、揚水量が左右されスクリーン長の長さを長くする必要が有る。
b.重力排水の場合には流入速度が遅く、琉球石灰岩層に附着した塩分の洗浄効果は、あまり期待できない。
3.スーパーウェルポイント工法を採用する事による真水化効果
スーパーウェルポイント工法のバキューム効果による吸引揚水で、重力井戸に対比して次の様な特長を有する。
- 1.バキューム吸引により、集中して下部の海水含有水を初期の段階で揚水し、入れ替える事が可能となります。
- 2.スイング洗浄効果により、琉球石灰岩層に附着した塩分を浄化出来ます。
- 3.バキューム吸引した時の地下水の動水勾配が水平に近く、広く低下する為、広範囲で浄化する事が可能となります。
- 4.バキューム効果により、スイング洗浄範囲外の所がシーリング効果が有り、連続して揚水した場合には、SMW壁外側にオートシーリング効果が望めます。
- 5.集水能力が高い為に、井戸本数を減らす事が出来ます。又、電力等の維持コストを安価に出来ます。
4.スーパーウェルポイントの施工方法
より効果的に真水化を行なう為に、次の様な施工手順で計画する。
- 1.上部の真水を初期の段階で出来るだけ揚水しない様に真水の部分は井戸外廻りにケーシングを立て込み、真水の流入を遮断する方法を取ります。
- 2.下部海水含有水のみ、集中して揚水します。
- 3.次に塩分濃度が薄くなったら、スイング洗浄を行い琉球石灰岩に附着した塩分を洗浄し浄化します。バキューム吸引では、多少エアーも抜く為に、より浄化作用が有ります。
- 4.海水含有分が少なくなったら、井戸外廻りのケーシングをバイブロ等で撤去し、全体の水を揚水出来る様な構造とします。