概要
スーパーウェルポイント工法の概要
スーパーウェルポイント工法は、空気は吸わず地下水だけを吸うことができる真空排水工法です。
「地球」には大気があり、大気には重さがあります。
スーパーウェルポイント工法は、地中に埋設した井戸の中を真空に保つことで大気のパワーを大深度で利用する革新的工法です。
スーパーウェルポイント工法は、従来のウェルポイント工法(強制排水)、ディープウェル工法(重力排水)、バキュームディープウェル工法(重力排水+強制排水)の短所を解決して長所を兼ね備えた新しい排水工法です。
ストレーナー部を特殊な二重管構造(特殊セパレートスクリーン)にすることにより、井戸内を真空に保ちながら強制排水を行うことを可能としました。
スーパーウェルポイント工法と従来工法の揚水量、水位低下の違い
工法紹介
特殊セパレートスクリーンの構造
特殊セパレートスクリーン(空気と水の分離型スクリーン)の開発により大深度でもバキューム効果による強制排水を可能とします。
セパレートスクリーンは内筒管と巻線ストレーナーの二重構造になっています。
巻線ストレーナーから流入した地下水は、二重管の間で空気と水に分離され、下部の通水孔を通って井戸内に流入します。
真空ポンプにより二重管の内部に負圧を作用させることで連続した真空排水を可能にしています。
特長
吸水力が大きく、地下水位低下量が大きい
従来のディープウェル工法等と比べ、スーパーウェルポイント工法はバキューム(真空)効果により集水能力が1.5倍~数20倍にアップします。
地下水揚水量と地下水位低下量が極めて大きくなり、ディープウェル工法では下げることのできなかった水位まで下げることができます。
施工本数も半分以下となり経済的です。
圧密脱水ができ、地盤改良が可能です
大気圧を利用して強制排水を行うため重力では不可能な間隙水を除去できます。
真空気化脱水効果が大きく、掘削場内のトラフィカビリティーが向上すると共に、掘削土中間処理を軽減できます。
地盤改良としても各種ドレーン工法に比べ低コストとなり、圧密沈下に要する時間が大幅に短縮されます。
あらゆる地質に対応、各種の用途に適応します
バキューム効果を利用して排水を行うため砂礫、砂質土から粘性土まで強制排水が可能となります。
そのため地下水位低下工法、軟弱地盤改良、地すべり対策、液状化防止、地熱利用計画、地下水資源開発(地下ダムの揚水井戸)、災害時の水資源確保等に有効です。
真空プレス型リチャージウェル工法との併用で威力を発揮します
地下水を汲み上げるスーパーウェルポイント工法は、地下水を復水する真空プレス型リチャージウェル工法と組み合わせて使用することができます。
この方法は、汲み上げた地下水を空気に触れずに(溶解性鉄分を酸化せずに)直接地下にリチャージするため、目詰まりを起こさず地下に復水することができます。
実施例
掘削底盤における揚圧力の軽減
外回り水位低下せず。
外回りの間隙水圧はほとんど低下せず、粘性土の沈下防止に有効
ドライワーク
外回りの水位低下ほとんどせず。
真空気化脱水
地盤改良ドライワーク
応用例
真空プレス型リチャージウェル工法とは、スーパーウェルポイント工法で汲み上げた地下水を直接地中に圧力復水する工法です。汲み上げた地下水を空気に触れずに(溶解性鉄分を酸化させずに)リチャージするため、高い復水効率を維持します。
真空プレス型リチャージウェル工法(垂直)
真空プレス型リチャージウェル工法(垂直)は、スーパーウェルポイントと構造が同じです。
万一の目詰まりの際リチャージウェルの能力を回復させる方法として本工法では、スイング洗浄を行い目詰まりを解消します。強制的に細粒分が除去でき、復水効率を改善することができます。
真空プレス型リチャージウェル工法(垂平)
円弧推進機械(水平ポーリング)を用いてリチャージしやすい層に水平に広範囲にリチャージするのが真空プレス型リチャージウェル工法(水平)です。
部分的に圧力が加わるリチャージウェルとは異なり広範囲に低圧でリチャージができ、より効率的な復水が可能となります。